妊娠中の過ごし方などは本来助産師さんなどの専門家の方のお話しを伺うことが良いと思っております。しかし、その情報に辿り着かない方がもおられますので、知識としてご説明できる範囲で顎の成長との関連性を推測できることや気をつけられると良いのではないかということを書かせていただきます。
体の声に耳を傾けゆったり過ごそう
赤ちゃんに話しかけよう
姿勢に気をつけよう
スニーカーを履こう
柔らかいおっぱいを作るために食事内容に気をつけよう
人に頼る力をつけよう
貧血に気をつけよう
体の声に耳を傾けゆったり過ごそう
よく聞く言葉のようですが、お妊娠中お母さんがリラックスして穏やかに過ごすことは、歯並びにとっても大切なことです。
歯並び基礎知識のページで、姿勢や原始反射についての話を記載しましたが、
お腹の中の赤ちゃんは『恐怖麻痺反射』という原始反射が受胎後生5週くらいから現れてきます。
恐怖麻痺反射とは
赤ちゃんが胎内にいるときに、お母さんがストレスを感じても、その影響から赤ちゃんが自分を守るための反射で、生まれる前には消えてしまうと言われているのですが
お母さんが妊娠初期に『強く』ストレスを感じていると、生まれてからこの反射が残ってしまい、産後も刺激(音、光、皮膚感覚など)に対して過敏に反応したり、筋肉の硬直を起こしてしまうのではないかとも言われています。
大人でもこの恐怖麻痺反射が残っている人がいて、その場合は
□引っ込み思案で臆病、消極的、内弁慶
□極度の人見知り・不慣れな場所への不安
□環境の変化を極度に嫌う、嫌がる
□小さな物音でもびっくりする(光や音に過剰反応)
□緊張すると動けなくなり、ことばもなくなり、固まってしまう
□感覚過敏傾向 人ごみを嫌う・車酔い・場所酔い
□家では話すが、場所が変わると話せなくなる場面緘黙など感覚の乱れ
□ストレスに弱い
□失敗が怖い
□うまくいかないと癇癪をおこす
□服の材質にこだわる、タグが気になって服が着られない(肌の感覚が過敏)
など、生きづらさと関係してくるのですが、
歯並びというところに着目して考えると、この恐怖麻痺反射の残存が与える影響は、
筋肉の過度な緊張による反り返りや、息苦しさ、呼吸がうまくできないことによる寝付きの悪さなどです。
歯並び基礎知識でもお伝えしていますが、歯並びが並ぶ顎を育てるためにはベロが上顎についていることが必須で、ベロを上顎にべたっとつけるためには、
ベロがつきやすいように赤ちゃんの姿勢を抱く側が意図的にまあるく作ってあげる必要があります。(詳しくは ねんねきの過ごし方 を参照)
しかし、筋肉が緊張していると、そり返ってまあるい、上顎にベロがつく姿勢で抱けなかったり、寝かしつけ時もその過敏さから、極端に反応して起きてしまうなどのことも起こる可能性があります。
妊娠中はリラックスして過ごす(適度な運動は大切です)無理をしない、心配性な方は『まいっか』『なんとかなる!』と落ち込みすぎないことも大切です。
実感が沸かないかもしれませんが、妊娠初期は人間にとっての土台を作っている特に重要な時期、自分は頑張っているつもりはなくても、体は人生で一番と言って良いくらい頑張っています。無理しないで!動かないで!お願いだから休んで!そんなサインが妊娠初期の症状なのです。体の声に耳を傾け、受け止め、素直に休みましょう。
頑張り屋さんのお母さんは頑張らないことを頑張ってください。
しかし、頑張るしかない環境下におられるお母さんもおられます。体をリラックスさせることはご本人にしかできませんが、心をちょっぴりでもリラックスさせてあげることは、周りの大人でもできます。
妊婦さんを見かけたら、しっかり休んでね、無理しないでね、お腹の中で赤ちゃんを育てているなんてすごいね、などお母さんの心が軽くなる言葉掛けをしていただくのも良いかもしれません。
お母さんの周りの社会が温かいと子どもたちの体もよく育つのではないかと思います。
赤ちゃんに沢山話しかけよう☺️
先ほどもお話ししましたが、赤ちゃんの筋肉を緊張させないために、
妊娠中はリラックスして過ごすことが大事!と言ったものの心も体も急速に変化してる時期に、常にリラックスなんてことはできません。
初期は妊娠に気づいていない可能性もありますし、お仕事で無理をしなければいけない状況もあるでしょうし、新しい命が産まれることの不安、パートナーとの価値観のすり合わせの妊娠期は夫婦喧嘩だって当たり前に起こるでしょう。
それら全てを回避することは無理です。
ですので、喧嘩した時やストレスを感じた時は、お腹の赤ちゃんにも一人前に感情があるんだと思って、そのリカバリーをしてほしいのです。
大人でも、恐怖や嫌な出来事があった時、周りの人からの優しい言葉掛けで随分体も心も楽になりますよね。
お腹の赤ちゃんにも、びっくりしたね、怖かったね、うるさかったね、お母さんちょっと無理しちゃった、ごめんね、大好きだよ、まってるよ、お腹に来てくれてありがとう、
そう言ってお腹を撫でてあげましょう。その愛情が赤ちゃんの体の緊張を緩めてくれます。
お父さんはお腹の赤ちゃんにもですが、お母さんにも優しい言葉をかけてあげましょう。
『ありがとう』『無理しないでね』『家事は任せて』お母さんに向けられたお父さんの優しさは
赤ちゃんにもきちんと伝わっているそうで、
妊娠中、お母さんや赤ちゃんに優しさを伝えていたお父さんの抱っこは、赤ちゃんもすんなり受け入れてくれるというお話があります。(逆もあるようです)
お母さんじゃないと寝ない、泣き止まない、生まれたての赤ちゃんの育児を、お母さんしかできないという状況にしてしまうと、お母さんの負担が大きくなりすぎてしまいます。
赤ちゃんの体を強く育てる知識はあってもそれを実践できない心と体の状態になってしまいます。
『授乳はお母さんしかできないけど、抱っこ、寝かしつけは任せて!』とお父さんが言ってくれるととても心強いですね!
妊娠中の姿勢に気をつけよう
リラックスして過ごそうと聞くと、ソファにゆったり座って過ごすことをイメージするかと思いますが、この骨盤が後ろに倒れた姿勢はお腹の中の赤ちゃんを圧迫してしまいます。
お腹の中の赤ちゃんは胎生37週の時点でベロを出したり笑ったり口周りの機能が発育しています。赤ちゃんは通常まんまるの姿勢をとっていますが、お母さんの日常の姿勢や骨盤の歪みなどから、赤ちゃんが丸まっておらずお腹の中にいる時から顎をそらした状態で過ごしている場合もあります。
骨盤を歪ませないようにするためには骨盤を立てることを意識しましょう
トコちゃんベルトなど、骨盤ケアをしてくれる商品もありますので、そちらを調べて見られても良いでしょう。
骨盤が倒れている姿勢は猫背になりやすく、猫背は肺を圧迫してしまうので、お母さんの呼吸も浅くなってしまいます。
お母さんがしっかり呼吸することで、お腹の中の赤ちゃんにも酸素が届きますし、
しっかり呼吸ができる体作りをしていると、出産の時にも、赤ちゃんにしっかり酸素が届く分娩ができます。
最近ではyoutubeでも、骨盤の整え方が多く配信されていますし、オンラインで専門家に相談やアドバイスもらうことも可能です。
ご自身にあったやり方で姿勢を整えましょう。
歩く時はスニーカーで
お母さんの姿勢を安定させる上で大切なことは履き物です。
人間の足が二足歩行でもバランスよく歩けるのは踵、親指、小指がカメラの三脚のような役割を果たしているからです。
パンプスや、スリッパを履く習慣があると、履き物の中で指が使えず外反母趾などの足指の変形が起こります。指が地面につけないと体の重心が後ろに行きやすく姿勢の崩れを起こします。
体の土台が安定できていない状態での妊娠は、お母さんの骨盤や背骨の状態にも影響を与えます。
家の中ではできるだけスリッパを履かず、お腹の大きくないうちは、お出かけの際も紐付きのスニーカーで過ごすとだけでも体のバランスや姿勢に良い影響を与えます。
足指の状態は噛み合わせにもとても影響を与え
虫歯や歯周病を悪化させる原因にもなるので
山下歯科では足や靴のサポートやアドバイスもしています。お困りごとがある方はお気軽にご相談ください
柔らかいおっぱいを作るために食事内容に気をつける
歯並び基礎知識の項目でもご説明しているのですが、歯並びを育てるためには授乳の時におっぱいを深飲みしてもらうことがとても大切です。しかしガチガチにはったおっぱいでは、赤ちゃんもおっぱいを上手にくわえられません。母乳はお母さんの血液から作られます。
乳房に流れ込んだ血液が乳腺を通る時に酵素の働きで赤から白に変わるのです。(妊娠中も臍の緒を介して血液が胎児に栄養を運んでいる)
血液が何を食べたかによってドロドロになったりサラサラになったりするように、母乳にもドロドロの母乳とサラサラの母乳があり、お母さんが何を食べたかによって味も変わります。柔らかく伸びがいいおっぱい作りには食事がとても大切です。
つわりの時は食べられるものを食べ、それを終えたら魚と野菜中心の和食中心の食事
ま 豆
ご ゴマ
わ わかめ(海藻)
や 野菜
さ 魚
し しいたけ
い 芋
を心がけましょう。
隠れ貧血に注意
妊娠中も血液検査をされると思いますが、通常の検査では、わからない貯蔵鉄であるフェリチンが不足している女性がとても増えているそうです。
おっぱいは血液から作られていますので、産前は大丈夫でも産後は気をつけていないと貧血になりやすいものです。もしお子さんを出産した後に体がどうしようもなく重い、心が沈んでしまうなど不調を感じたら、このHPの情報を思い出していただければと思います。
人に頼る力を育てる
『人に頼る』これは歯が並ぶ顎を育てる暮らし方をする上で一番大切なことかもしれません。
これから歯並びを育てるための暮らし方のコツを発達別にお伝えしていきますが、
それら全てはお母さんの元気がなければ実践することが難しいからです。
産後は心の状態も体の状態も妊娠前と同じではありません。自分が思うよりも体も心も無理をします。このHPを見ておられるお母さんは、ご自身で気づいていないかもしれませんが、おそらくとっても頑張り屋さんです。
そんなお母さんが沢山の情報を頭に入れて子育てに向き合うと、子育てが苦しくなってしまうかもしれません。
生まれてくる赤ちゃんにとって、嬉しいことはお母さんの元気です。
しかし、ここ数十年の子育ては孤独な『孤育て』になっていて、お子さんを可愛いと思う余裕すら持てない方が沢山いるおられます。
これはお母さんのせいではなく、社会のあり方の問題です。歯並びの問題でさえ、元を辿っていけば社会が作り出した病気です。
アフリカには、子供を1人立派に育てるためには村一つ必要という諺もありますし、江戸時代の子育てでも1人の子供に15人ほどの大人が関わっていたと聞きます。
1人でもお子さんは立派に育ちます。
しかし体の土台が育っていないと、若い時は良くても免疫力が下が下がり出す30代後半を過ぎた頃にその歪みがガクッと現れてくることがあります。
子どもたちが一番踏ん張らないといけないときに、それができる健康な体をできるだけ作ってあげる。
人の手を借りることは勇気がいることですが、
この時期だけはお子さんのために猫の手でもなんでも借りましょう。
家族に頼るのが苦手な人は行政の力を借りましょう。
熊本県では1時間500円で家事や育児、料理の作り置きのサポートをしてくれるヘルパーさんをお願いできるようです。