少し難しい話をします。

寝返りができた赤ちゃんの最初の移動手段ズリバイ。このズリバイは手足を左右交互に出しながら背骨をぐにゃぐにゃと捩れさせながら進んでいきます。

 

この動きはまるでトカゲやワニのような爬虫類の動き。赤ちゃんは誕生してから1歳までの間に、人間の進化の過程(細胞→両生類→哺乳類→人間)を辿っていると言われていて、このトカゲのようなずり這いの動きは、これから立ち上がり二足歩行の人間になっていく上の基礎となるとても大切な動きです。

 

またこの動きをしっかり行うことで、脳も発育します。

 

(ここからすごく難しい脳みその話!!)

人間の脳は大きく分けて脳幹、大脳辺縁系、大脳新皮質という三層構造をしています。

 

大脳辺縁系は喜び、愛情、怒り恐怖、嫌悪、仲間意識などの情動を

大脳新皮質は知能、記憶、言語、創造、倫理、繊細な運動をコントロールする

機能があり

 

一番まんなかにある脳幹は生命維持の機能である呼吸、心拍調整、飲み込む、体温調整、性行動など、まさに両生類の時期に必要な潜在的な運動を機能させるための脳です。

 

発達の順番は、生命維持のための脳幹(爬虫類脳)が発達し、次に感情や仲間意識が芽生える大脳新皮質系(哺乳類脳)が、次に知能のや思考、細やかな指先の動きをコントロールするから大脳辺縁系が発達します。

 

トカゲのような動きであるずり這いは、人間の生命維持の役割を果たす脳幹(爬虫類脳)を発達させるための、とても大切な動きです。呼吸すること、飲み込むことが当たり前にできて初めて、感情を味わい、仲間と喜びを共有し、人間的な思考で、未来を創造したり欲求をコントロールしたりできるのですが、この脳幹の発達ができないと、その次のステップにうまく移行できません。

 

二足歩行になったときに、ベロを上顎につける上で大切な、姿勢の維持も難しく猫背になったり、食事中に足をあげてしまったりします。また

噛む(咀嚼)のときに使う筋肉は肩甲骨と繋がっている筋肉もあるため、ずり這いをしっかりすることが、幼児食となったときに、よく噛んで飲み込むという噛む力にもつながります。

 

脳幹を発達させるために大切なことは、ずり這いをたくさんさせてあげることです。(ポイントは大人の都合に赤ちゃんをつき合わせないこと!)

 

こちらのページでは、その暮らし方の具体的な説明と、ずり這いをあまりしなかった子に対するリカバリー方法をご紹介します。またよく子どもの成長段階を月齢で比較されることがありますが、発達には個人差があり、月齢で測れるものではありません。

 

今お子さんは成長段階のどのステップにいるのかを知り、次の行動を行うサポートを繰り返していくことが大切なのですが、

 

前提として、赤ちゃんは自分の発達に必要な動きを本能的に行なっているので、

(ティッシュを引っ張る、口にものを入れる)赤ちゃんがいかに自由に、思いのままに動ける安全な空間、時間を作ってあげられるかが何よりも大切です。

 

自由に思いのままに体を動かすためには、これまでの暮らし方(ねんねー寝返り期)をどのようにしてきたかがとても重要です。

 

赤ちゃんの体を観察したときに下の目指す状態に近しい行動を取れている場合は、これまでの暮らし方通りで良いかもしれません。

 

もし寝ているときにいつも口が開いていたり、よだれがだらだら出ていたり、そり返ったり、

寝返りをする際に同じ方向にしかしない、ずり這いでなく背ばいで移動するなどの行動が見られるときは、体にどこか緊張があり筋肉を上手に動かせていないのかもしれません

 

その場合はリカバリーが大切です。筋肉を緊張させてしまった暮らし方をねんね期ページから探り見直すとともに、固まって動けなくなっている筋肉をほぐしてあげること(ベビーマッサージや身体親和支援)をしてあげると良いでしょう。

 

ずり這いを飛ばした子は、お布団でお山を作って下から登らせていくことで、育て直しができます。

抱っこ、授乳の時に背骨がCカーブを描き、

顎がひけている

 

寝ている時に口を閉じている

口の中を覗いた時に、ベロが上顎についている

 

鼻で深く呼吸をしている

 

お腹が柔らかくリラックスしている

 

泣いている時にお顔を真っ赤にして、

大きな口を開けている

 

お布団で仰向けでも眠れる

 

床に下ろすときにもそーっと置く

 

縦抱きの時に必ず頭、骨盤を支え、

赤ちゃんの体重を保護者が受け止める

 

抱っこ紐、チャイルドシート

に入れての長時間の移動を避ける

 

抱っこ紐に抱っこしてもらわない

 

厚着をさせない

 

スタイ(よだれ掛け)をつけない

 

ーーーーーーーーーーーーーここからは追加したことーーーーーーーーーーーーーーー

 

抱っこの時間を減らし床で遊ばせる

 

ずり這いができる環境がある

 

ずり這いの時に両手足がバランスよく動いている

 

足の指を使ったズリバイをしている

 

裸足で過ごしている

 

上下分かれた服を着せてあげる

 

よだれを飲み込める

 

ベビーカーの段差は慎重に通る

 

動きの邪魔をしない

 

お口を指や綿棒で刺激する

自分の手や足をたくさん舐めさせてあげる

 

 

・お母さんは前傾姿勢をとる

・赤ちゃんの下半身をしっかり支える

・おっぱいとお口の高さ、角度を合わせる

・大きく口を開けてから加えさせる

・赤ちゃんの顎が上がらないように気をつける

・哺乳瓶の角度に気をつけて

(ここまではねんねのページで詳しく説明しています)

・下半身を支えたまんまる抱っこに

・顎を引く

・両手を同じ位置で抱っこしてあげる

・こまめに抱っこの向きを変える

・縦抱きをしない

(ここまではねんねのページで詳しく説明しています)

 

抱っこの時間を減らす

赤ちゃんは自分の力で体を動かし、自分の体重を自分の手足、体全体でしっかり感じ切ることがとても大切です。自分の体重分の重さをかけてあげることで関節も可動域が増えていきます。

 

自由に動けたお腹の中から、重力のある世界に生まれてきて、全く動かせなかった体を試行錯誤しながら、少しずつ動かしていく、この過程を経験させてあげるためには、授乳や必要な抱っこの時以外は床におろしてあげましょう。いかに自由に体を動かせる時間を作ってあげられるかが何よりも大切です。

抱かないと泣いてしまう場合は体の緊張(大人でいうと寝違えて首が回らない状態)があったり、お母さんの心の揺らぎを敏感に感じ取っている場合があります。

 

育児がしんどい、赤ちゃんが可愛いと思えない、つい粗雑に扱ってしまう、そんなときはお母さんの心が悲鳴をあげているときです。

 

睡眠や食事、やりたいことが思い通りにならない状況が何ヶ月も続いていれば誰でも平常な気持ちではいられません。

 

しかし、自分だけでぐるぐる考えていてもネガティブな方向に流されがちです。

県の育児サポートに依頼して(熊本県は1時間500円)睡眠と栄養をしっかり摂り(ご飯の作り置きをしてくれる事業所さんもあります)

 

近隣の子育て支援センターで大人の人と会話をするだけでも心が晴れますよ。

 

 

・寝かせる向きをこまめに変えてあげる。

 

寝かしつけで抱っこ紐を使わない

お母さんの代わりに抱っこしてくれる方がおらず、抱っこ紐が子育ての強力なサポーターであり、人によっては生命線となっている現代での実践は難しいことですがあえて書かせていただきます。

 

赤ちゃんもよく寝てくれるし、家事や、他の育児、在宅ワークも捗る抱っこ紐での寝かしつけ。でも赤ちゃんの様子をよくみてみると。両手で支えられていない赤ちゃんは

体がだらんとし、まるで抱っこ紐に吊り下げられた状態です。ゆらゆら、ときにはゆっさゆっさとした振動は赤ちゃんの首にとって、大人が思っている以上の衝撃になります。

 

また頭がそり返り口もポッカリ空いた状態では当然、ベロは上顎(口蓋)についていません。

 

深く呼吸ができていないため眠りも浅く、寝起きに不機嫌になったり、口で呼吸することによってお腹に空気が溜まり、苦しくてよく泣いていたり、おっぱいも飲まないことで浅飲みになってしまったりします。

 

寝かしつけの時だけでなく、ショッピングモールで同じような状態になている赤ちゃんをよく見かけるのですが、その手足をよくみると、うっ血して紫色になっている子もいます。

 

 

赤ちゃんがどうしようもなく泣くタイプで抱っこをするしかない。赤ちゃんがとにかく重く、手首の腱鞘炎や腰痛で抱っこ紐なしなんて考えられない。

 

そんなときは抱っこ紐は落下防止の道具と捉え、赤ちゃんの体重は保護者の方が体全体で受け止められるよう抱き方の工夫をしたり、おんぶにしましょう。おんぶの場合はお母さんが背中全体で赤ちゃんの体重を受け止められるように、少し前傾姿勢になってあげましょう。

 

性格の違いからよく泣く赤ちゃんと、そうでない赤ちゃんがいますが、性格以外の暮らし方で解決策を探るとするならば、

 

・鼻呼吸ができているか

・仰向けでも眠れているか

・舌が上顎(口蓋)についているか

・体が緊張していないか

・うんちは規則的に出ているか

・お腹が張っていないか

・お腹から声を出す泣き方ができるまで、待ってあげられているか

・服を着せすぎていないか

・痒いところはないか

・おむつのやお洋服に皺がないか

(服のタグが当たっていないか)

ねんね期からの暮らし方を見て原因を探りましょう。

よく泣くのは体に何かしらの緊張があったり不快感があるのかもしれません。

ベビーマッサージや身体調和支援など赤ちゃんの専門家に相談されてみると良いでしょう。

 

 

そり返った姿勢のまま寝かせない

もし赤ちゃんがそりかえったまま寝ていたら、一度抱き抱え、まっすぐ眠れるように姿勢を直してあげましょう。抱き抱えるときはCカーブを意識して抱き、首の後ろをのばし口が閉じさせてあげましょう。舌を一度上顎(口蓋)につけてから寝かせてあげると鼻で呼吸ができる状態になっているので、まっすぐ寝てくれやすいです。母乳の方は抱っこで授乳しながら寝かしつけを行うと同様の状態が作れます。(授乳姿勢はCカーブを意識してください)

 

床に下ろすときはしっかり寝入ってからが安心です。寝入ったかどうかの一つのサインは体が脱力していることです。

 

何度やってもすぐに反り返るときは、体に緊張があったりむきぐせがついているのかもしれません。赤ちゃんは育ちたい!動きたい!触りたい!舐めたい!とういう体の中から湧き上がる意欲により成長していきます。

 

体に緊張がありうまく使えない状態だったとしても(大人でいうと寝違えて首が回せない状態)その状態のまま、懸命に動こうとします。

 

すると、その動きに対して本来使われるべきでない筋肉が使われ癖になり、向きぐせとして現れたり、うつ伏せになってのずり這いではなく仰向けのまま移動する背バイなどを身につけてしまいます。一度移動手段を身につけると楽しくてその動きばかりをしてしまいますので、まずは体の緊張をほぐし、使える体を作ってあげること、そして普段の過ごし方を見直すことをやってみましょう。

 

・泣き始めた時はお腹から声が出るまで待ってあげる

・赤ちゃんの体をたくさん触ろう(ベビーマッサージも⚪︎)

・厚着をさせない

・手足、足首を覆わない

・スタイ(よだれ掛けをつけない)

 

ずりばいができる環境を作る

ずり這いが体を育てますので、その動きを邪魔するものをなくしてあげることがとても大切です。

ずり這いのポイントは両手両足、股関節がバランスよく動いていること、足の親指を使ったずりばいができていることです。

 

この動きの邪魔をするものが

・ものが沢山置いてある部屋

・繋がった服

・靴下

です。

 

できる限りで広いスペースを作り

上下分かれた柔らかい素材のお洋服で

裸足で過ごさせてあげましょう

 

ベビーカーの段差は慎重に通る

赤ちゃんの体がしっかりして、外に出る機会が増えるこの時期ベビーカーで移動する機会も多いと思います。この時期に気をつけていただきたのが段差です。その突然の『ドスン!』衝撃は追突事故に似た衝撃を赤ちゃんの首の骨にかけてしまいます。

首の骨の成長は舌の動きと関連していますし、

 

首の骨の発育のためだけではなく、

びっくりすると人間の体は一瞬固まってしまいます。それらの緊張は、赤ちゃんのしなやかな動きができにくい原因にもなります。

 

ベビーカー使用時に段差を通ったりガタガタ道を通るときは十分気をつけましょう。

(ベビーカーを使ってはいけないということではありません。大切なことはそのリスクを知った上で保護者が使い方を考えて利用するということです)

ズリバイをたくさんさせてあげる

寝返りができた赤ちゃんの最初の移動手段ズリバイ。このズリバイは手足を左右交互に出しながらまるでトカゲのように背骨をぐにゃぐにゃと捩れさせながら進んでいきます。この筋肉や関節の動きは体幹作りにも、『脳の発育』にもとても重要です。脳がきちんと機能しないと、筋肉は思い通りに動かせません、左右差は時間をかけて体に歪みを生み、困り事として出てきますし、ベロが上顎につく姿勢の維持にも関わります。赤ちゃんの些細な動きを一つ一つを十分にできるようにサポートしてあげましょう。

 

ずり這いの時に両手足がバランスよく動いている

足の指を使ったズリバイをしている

『体がうまく動いていないなと感じたら』

動いて欲しい部分をくすぐるようにたくさん触ってあげたり、足の使い方を軽く誘導させてあげましょう。

 

生まれた赤ちゃんは手や足の感覚がないためどこまでが自分の体なのかも、自分の体に足や手があることも、どう動かすものなのかも気づいていません。

 

床に指先が触れ、力一杯バタバタ動かすとなんだか体が前の方に動いた、、、、!楽しい!もう一回やってみよう!このように体の使い方を習得していくため

 

動いていない部分は触ってあげたり、使い方を促してあげたりすると、ああ、膝っていうやつはこんなふうに曲がるのね!と赤ちゃんも自分の体の使い方がわかってきます。

 

注意点としては

本来は自分で動くようにインプットされているので、無理強いしないことです。その部分が動かないのは、体が緊張していて思い通りに動かせていない場合があります。

まずは体をほぐしてあげることが大切です。

 

裸足で過ごさせてあげる

寒いからと、靴下で足を覆ってしまうと、自分の足に指があるという目での発見をすることやずり這い時に滑って指を使うことができません。

もし生まれたての赤ちゃんを目隠しして過ごさせてしまったら、赤ちゃんの発達に何らかの影響が出ることは想像がつくと思いますが、靴下も実は目隠しと同じ、足の裏には体の脳の発育につながるツボがたくさんあります。一番刺激を敏感に感じ取り発育に繋げるこの時期に足裏を様々な刺激(寒さも!)に触れさせてあげることはとても大切です。

 

また少し先の話ですが靴下を履いた状態で靴を履くと、靴の中で足が滑って、歩くたびにギュッギュと曲がり、曲がり指という状態を誘発し、指先が使えない足指になることがあります。指先が曲がっているとジャンプを爪先でできず、ドシンドシンという、体に負担がかかる体の使い方を覚えてしまいます。(すぐにこける、縄跳びが下手などの困りごとは足指がまっすぐな状態になているかというのを観察して見ましょう)指が曲がった状態でも体操をすることで改善できますが、できれば正しい体の使い方で成長してもらえるように、裸足の時間を多くとってあげましょう。

 

 

 

・よだれを飲み込める

・お母さんのいろんな表情を見せてあげる

・お口の周りやベロ、歯茎を清潔な綿棒や手で触れてあげる

 

自分の手や足をたくさん舐めさせてあげる

停電の時をイメージしてください。

急な停電で真っ暗闇になったとき、空間や物の配置が認識できませんよね、

でも手を伸ばして物の配置を探ると何かが指先に触れます。『あ、何かあたったぞ』これはなんだ?とその輪郭を手全体でなぞることでこれはテレビだ!ということがわかります。

 

しかし、生まれた赤ちゃんは手や足の感覚がないためどこまでが自分の体なのかも、自分の体に足や手があることも、どう動かすものなのかも気づいていません。

 

これに気づいてもらうために大切なことが舐めるという行動です。

 

口は触覚、味覚、温度感覚など、人間の体の中で一番感覚を感じられる場所です。

 

停電時に大人が指先で物の輪郭を掴んでいくように、これは硬い、危ない!というような勉強を赤ちゃんはお口でやっています。(ペンフィールド)

 

また舐めることで手や足がの感覚もわかり、意識ができるようになると、指先や足指を使えるようになります。