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綺麗な歯並びはどっち?  

 

↑の写真はどちらも乳歯の写真です。

この二つの写真、将来綺麗な歯が並ぶのはどちらだと思いますか?

 

 

正解はこのスキッパの歯並び

 

実はこれから生え変わる永久歯の大きさは乳歯の1、5倍!

歯と歯の間に隙間があると永久歯はすんなり生えてくるのですが、隙間がないと

永久歯はガタガタに生えてきてしまうのです。

 

 注意していただきたのが、ただ、すきっ歯であればいいというものではなく、乳歯の時の歯並びにはいくつか条件があります。それは

 

 

1、歯と歯の間に隙間があること

2、上の歯と下の歯が先端同士で噛んでいること

3、歯の先端がすり減っていること

です。

 

早めに相談していただきたい歯並びはこちらです。   

なんで隙間ができないの?

歯と歯の間に隙間ができないのは、顎が小さいことが原因です。

人間の体でも、足や腕の長さ、歯の大きさや形はほぼ遺伝で決まっていてほっておいても成長してくれるのですが、なぜか、、、顎の成長は違います。

 

顎が成長するポイントは

 

⑴口を閉じた状態で鼻で深い呼吸ができること

⑵ベロ全体が上顎にべたっと吸い付いて押していること

⑶よく噛むこと

 

など、しっかり使うこと、適切な力をかけることで成長します。

 

 

これからこの3つのことについて詳しく説明します。

 

⚪︎「鼻で深い呼吸ができる状態であること」について

顎というと下顎の尖った部分を思い浮かべるかもしれませんが、

顎は上顎と下顎に分かれています。

 

特に上顎は目や鼻の骨を構成する骨格の一部で顔立ちにも大きく影響しています。

 

上顎の成長に伴うように、下顎も成長するため、まずは上顎を育てることを意識することが大切なのですが、上顎の成長のためには鼻をしっかり使った深い呼吸をすることで顎も刺激され成長します。

 

「鼻を使った深い呼吸ってなに?」

ここで実験をしてみましょう。

 

1、口を開けた状態で鼻で息を吸い込んで見てください。

2、次に口を閉じた状態で鼻で息を吸い込んで見てください。

 

呼吸のしやすさや、空気の通り道に違いは感じられるでしょうか?

 

おそらく口を閉じた方が酸素が脳の方に流れ、鼻を使ってる!という感覚があると思います。

 

人間の体は使うことによる刺激で成長していきますので、

鼻を使った呼吸が当たり前にできる状態に育ててあげることが大切になります。

 

ポイント

『顎を育てる呼吸法は口を閉じた状態での鼻呼吸』

 

 

⚪︎ベロが上顎にべたっとついていることについて

 

上顎を成長させるもう一つの刺激はベロの力です。

 

ご自分のお口に意識を向けていただきたいのですが、あなたのベロは

上顎にペタッと吸着していますか?それとも下顎の中にありますか?

 

実はベロの本来の居場所は上顎の中、

ベロが押す力は約500グラム(500mlのペットボトルの重さ)あるので

 

その力が上顎にかかることがとても重要です。

 

赤ちゃんのベロと大人のベロ

大きさが全然違いますよね?

ベロが上顎にペタッとくっついていればベロの成長と共に上顎も自然と成長するのです。

 

 

 

⚪︎よく噛むことについて

歯並びが並ぶ顎を育てるためには、噛むことで顎に刺激を与えることが必要です。

と言ってもただ沢山噛んでいれば顎が育つというわけではなく、『咀嚼』という噛み方がポイントになってきます。

 

咀嚼って何?

物事を認知し、経験を通して深く理解するという言葉の意味として、咀嚼という言葉が使われるのと同じように、『咀嚼』とは食べ物を口の中で捕らえ、味や食感を、ベロや粘膜、歯で感じ、さらに唾液と混ぜながら、自分の体の一部とするための行為です。

 

ただ噛むのと、咀嚼するのとでは、顎への力のかかり方が違います。

『歯医者さんでカチカチと噛んでくださーい』と言われて行う軽い上下運動ではなく、牛がムシャムシャと下顎を動かしながらずっしり噛む動きのような力がかかることで顎はより育ちます。

 

 

 

しかし、咀嚼という動きは主に奥の歯を使うもの。前歯もしっかり使わなくてはいけません。

 

前歯で食べ物に噛みとり、その後ゆっくり味わいながら咀嚼し、食べ物を舌や上顎、ほっぺの筋肉などを使いながら、口の中で丸めて飲み込む、この一連の動作が顎を育てるのです。

 

しかし、いざ歯が生え揃い、しっかり噛ませようとしても、食事を吐き出す、丸呑みする、吸い食べをする、食事自体を嫌がる、などよく噛む前にクリアしないといけない問題を抱えたお子さんが多くおられます。これは、赤ちゃんの時から(生後0ヶ月〜6ヶ月くらい)までの歯がない時期に行う『飲み込む』(嚥下)という動作をうまく獲得できなかったお子さんによく起こります。

 

飲み込む(嚥下)動作がきちんとできて初めて『顎が育つ咀嚼』を行うことができるのです。

 

 

 

1、口を閉じた状態で鼻で深い呼吸をすること

2、ベロ全体が上顎にべたっと吸い付いて押していること

3、よく噛むこと

 

 

この3つのことができていれば顎は自然に成長し、歯も綺麗に生えてくれるハズなのですが、

なかなかうまくはいきません

 

その理由は。

1、上顎の前歯に関係する骨は6歳までに8割が完成してしまう

ことと

2、正しい、呼吸やベロで上顎を育てるためには姿勢に気をつけた暮らし方が必須!

だからです。

 

 

1、上顎の前歯に関係する骨は6歳までに8割が完成してしまうについて

上の線グラフの図は、年齢に応じた顎の成長の完成度を表したものです。

赤いラインは上顎の成長なのですが、6歳の頃には80パーセントが完了されています。

 

一方、親御さんがお子さんの歯並びを気にし始めるのは前歯の生え代わりが始まる6−7歳

ごろです。

上顎の成長は正確には10歳くらいまでは続くのですが、そのスピードはとても緩やか。

 

『様子を見ておけば、綺麗に並んでくれるかも?』と思われる方もおられるのですが、

そもそも、現時点で顎が成長していない(歯に隙間がない)ということは、赤ちゃんの頃から鼻で呼吸をすること、ベロを上顎にペタッとつけた状態で過ごすこと、よく噛むことが身についていない可能性が高いので、歯が生え変わる度にどんどんガタガタになってしまいます。

 

この時期から、見た目の歯並びや噛み合わせまできちんと並べてあげようと思ったら、矯正装置でのサポートが必要になってきますので、お子さんの歯並びに少しでも気になることがある方は

 

できるだけ早い段階でご相談ください。成長が完全に完了する前に矯正治療とを開始してあげることで、呼吸ができる骨格も一緒に育てることができます。

 

お子さんの歯並びの注意点は歯が生える前からでも確認できますので、お近くであれば当院に、遠方であれば赤ちゃん歯科をしている歯医者さんでお早めにご相談いただくことをお勧めします。

 

 

 

 

2、正しい、鼻呼吸やベロで上顎を育てるためには姿勢に気をつけた暮らし方が必須!

またまた実験をします。

椅子に座っていただいて、顎を引き、背筋を伸ばした状態で唾を飲んでください。

 

 

次に顎をグーっとあげて、もう一度唾を飲んでください。

 

ベロが喉の方に引っ張られ、

口が自然と空きませんか?

 

呼吸も口で呼吸すると息が吸いやすくなっていますが、

鼻での呼吸だとしにくく感じると思います。

 

このように姿勢が変わると、鼻もベロもうまく使えません。

 

さらに、喉の奥にベロが落ち込み気道が塞がるため、少しでも酸素を取り入れられるように

軌道を確保するために猫背の姿勢をとるのです。

猫背で過ごしている時はベロは上顎についていません。

 

ベロが上顎についていなければ、だんだん大きくなってくベロは上顎からはみ出すようになり、居場所をなくしたベロはますます喉の奥に下がっていきます。

 

深い呼吸ができない体は睡眠が浅く、寝ているときのいびき、おねしょ、朝の機嫌の悪さ、学習への意欲、集中力、記憶力など日常での困りごとにもつながるのです。

 

 

 

顎が成長する姿勢は赤ちゃんの時の抱っこでつくられる

Aの抱っことBの抱っこ、顎を育てる抱っこはどちらでしょう?

 

正解はBの抱っこです。

 

Aの抱っこは顎が上がっています。顎が上がっていると

ベロが喉の奥に引っ張られて上顎につきにくくなっています。

 

顎が上がった状態で抱っこされている赤ちゃんは、いつも口がぽかんと開いているので、鼻を使った深い呼吸も難しい状況です。

 

 

お口もいつもぽかんと開いていて、下唇も本来『粘膜』であるところがめくれて分厚くなっていたり、上唇が三角になっていたり、唾を上手に飲み込めないのでいつもよだれがダラダラと垂れていていたりします。

 

この状態だと飲み込み(嚥下)をうまく獲得できていないので、離乳食の開始時期だから、、と食事をあげても、すぐに吐き出したり、吸いたべをしたりします。

 

生まれたばかりの赤ちゃんの姿勢は抱っこする側の抱き方に全て左右されるため、正しい抱き方、姿勢をさせてあげることが必須です。

 

抱っこする時、抱っこ紐に入れる時、寝かせる時、授乳する時に顎が上がった状態だと、

気道確保のために、反り返りが強くなったり、筋肉が硬直する(寝違えのような状態)不快感から、寝つきが悪かったり癇癪が激しかったり、お腹が張って、おっぱいを飲まなかったり、

それらのことが姿勢、顎の成長、歯並びの問題へと発展していくのです。

 

 

 

生まれた時から、顎が上がって舌が喉に落ち込んでいる姿勢をとっていた場合は、筋肉にもそのような癖がついてしまうので最初の3ヶ月は特に気をつけていただきたい時期です。

 

ある程度大きくなってから、さらに目立ってくる姿勢の悪さは、普段の生活状況も関係しますが、

多くが赤ちゃんの頃からのだき方による呼吸の問題が関係しています。

 

『姿勢をよくしなさい!』と、焦りからお子さんに注意したくなるかもしれません。

しかし大人から見るとだらしがなく見える姿勢も、呼吸が一番しやすい状態を体さんがわざと作っているだけに過ぎません。

 

 

できるだけ姿勢を意識した環境設定は大切ですが、

本人の人格は否定せず、まずは自分の姿勢の状態に気づかせてあげる言葉掛けを

していただいたり、専門家のサポートも大切でしょう。

 

可能であれば、妊娠時や生まれてすぐから

HPで紹介している暮らし方のコツを取り入れていただきたいと思っていますので

もしお知り合いに妊婦さんや、出産を望んでおられる方がおれましたら早めに

こちらのHPをご紹介いただければと思います。

 

姿勢づくりに大切な原始反射

(少し難しい言葉が出てきますので、じっくり読んでください)

赤ちゃんが生まれると入院中に産婦人科の先生が原始反射のチェックをしてくれますね。

原始反射とはとても簡単な言葉で言うと

 

何もできない赤ちゃんが生きていくために体にインプットされている初期動作のようなもの

 

です。唇に触れると刺激された方を向いて頭を動かし口を開けておっぱいを探す探索反射

口の中におっぱいや指が入ると舌を動かし吸いつこうとする吸啜反射

大きな音刺激、光に反応して両手を広げるモロー反射

赤ちゃんの足の裏を触ると指が曲がる足底把握反射

など、外側からの刺激により勝手に動いてしまう体の動きで

この他にも沢山の反射があります。

 

この反射は使われることで、無意識の動きから自分の意志で行う動きになっていくのですが

暮らし方のコツを知らないままでいると反射が消えず、残ってしまうことがあります。

 

反射が残ると音や光に敏感になったり

歩き方や股関節の動きにぎこちなさが出たり

足の裏が敏感で運動場の砂の感触を嫌がったり

生きづらさの症状として困りごとのきっかけになることもあるのですが

 

歯並びという視点でその関係を見て行くと、

 

足裏をつけない、歩き方や股関節の違和感

姿勢が保てない

ベロが上顎につかない、

口を閉じられない、

鼻呼吸できない、よく噛めない(咀嚼)

顎が成長しない

歯が並ばない

というふうに関連してきます。(簡略化して表現しています)

 

原始反射の話は内容がとても深く、ここでは話しきれないのですが

『原始反射から望ましい動作に導く暮らし方のコツ』は

 

手足を舐める、ティッシュを引っ張り出す、お茶碗を何度も落とす、

ズリバイをする、ハイハイをするなど

赤ちゃんがごく自然に行う行動を思いっきりやらせてあげることです。

 

赤ちゃんが行うすべての動きは次の成長に向けてのステップの一つであり準備で、

一つ一つの動きをじっくり行うことで体の土台がしっかり出来上がっていくのです。

 

昔は歩くのが早い赤ちゃんを『すごい』と褒められることもありましたが

歩く前の発達段階である

 

首座り→寝返り→ズリバイ→高バイ→はいはい→お座り→つかまり立ち→立ち上がり

 

 

それぞれの動作は脳と体をシンクロさせ、自分の体をスムーズに動かすために重要な動きであり

『体は自分の成長発達に必要な動きを知っています』

 

なので親にしてあげられることは

・赤ちゃんの動きの邪魔をしないこと

・赤ちゃんがやりたいことができる環境を作ってあげる

ことです。

 

 

頭の形と歯並び

 

頭の形で変わる?!赤ちゃんの歯並び

 

歯並びと頭の形が関係するなんてとっても不思議ですよね、しかし、頭の変形があるお子さんのお口の中を覗いてみると歯が生える前の顎堤の形も変形していることがあります。

 

歯並びは歯が生えるための顎がしっかり成長してするからこそ、綺麗に並ぶことができますので

できれば生まれてすぐからこの頭の形をまんまるに育てる暮らしかた実践してみてください。

 

⭐️すでに頭に変形が見られる場合

お子さんの頭の形に違和感を感じたら、1日でも早い段階で、変形に応じたアプローチが大切です。

頭の形を整えられるピークのタイミングは生後8ヶ月。可能であれば生後3ヶ月までが効果が出やすいからです。

 

山下歯科でも診療の中で、すでに変形している赤ちゃんの頭の形をサポートできるように沖縄で赤ちゃんの頭の形をまあるくするための学校運営をされているするノブ先生という方の元で勉強させていただいています。

 

資格を取得し、ノブ先生に認めて頂いてからは、変形に対するサポートも開始させていただきます。

 

今、頭の形でお悩みのお母さんはノブ先生のインスタアカウントをチェックされてくださいね。

Screenshot

以上が歯並びが育つメカニズムです。

最後まで読んでいただくとお分かりになるかと思いますが

 

歯並びは、これをすれば育つ!というものはありません。口はあくまで体の中の一部なので、体が育っていないのに、歯だけは綺麗に並ぶということはありません。

 

顎がしっかり発育しているから体も育つし、体がしっかり発育しているから顎も育つというふうに連動していてお互いの成長がお互いに良い影響を与えています。

 

呼吸の状態、ベロの状態、体の状態メカニズムを知ったことで

少し難しく感じてしまわれたかもしれませんが、

 

暮らしの中で気をつけることは

 

⭐️顎を育てるために深い鼻呼吸を身につける

⭐️ベロを上顎にべったりつける

⭐️この二つのことができる姿勢を作る

⭐️原始反射のチケットを出し切る

⭐️頭の形をまあるく育てる

の5つです。

 

発達段階によって

この5つを実行するためのアプローチ方法が少しずつ変わりますので

これから赤ちゃんの発達時期に分けて暮らし方の具体的な方法を提案させていただきます

 

 

おすすめ書籍、参考文献

このHPは子育てについて研究実践されてきた沢山の方々の経験をお借りして書かせていただいております。より詳しく知りたい方に書籍の紹介をさせていただきます。

 

書籍紹介