外遊びクラブの目的
初めまして、守恒外遊びクラブ発起人の前川です。こうしたコミュニケーションがうまくできない世代の方、そして、その指導にあたられている方のお悩みが増えています。
実は私もコミュニケーションを取るのが苦手。喋るのは好きなのですが、方向がずれていたり、会話のキャッチボールで相手を困らせることがありました。学生のうちは友達にも恵まれ、前川ちゃんはちょっと変わってけど、面白い!と個性のようにとらえられ困ることもなかったのですが、仕事をなると話は別です。
『なぜそんな失敗をするのかわからない』
という様なミスを連発、簡単な作業の処理に時間がかかる。周りの『あの子大丈夫かな?』という不安な思いががひしひしと伝わってきます。
『使いもにならない』という判を押されるのが怖くて、できないことや、わからないことに言えずに『できます』と言ってしまい、最後に失敗するということもありました。
自分でも自分のことが恥ずかしく、いつも仕事から逃げ出したいと思っていました。
そんな折、大人の発達障害という言葉を知りました。自分の『できない』には、なにかこれに近いものがあるのかもしれないと、学びの道に入ったのです。
勉強を重ねるたびに確信した、外遊びの大切さ
コミュニケーションが極端に苦手な方の根本的な原因にあるものは、子供の時の体と心の育ち方です。それは赤ちゃんのころから始まり、育ちには子供が無意識に行う『遊び』が大切です。
赤ちゃんであれば、ティッシュペーパーを永遠に引っ張り出したり、お茶碗をひっくり返したり、ハイハイをすること。
こどもであれば、大地を踏み締めながら、走ったり、お友達と触れ合ったりする刺激が
心と体と脳をまっすぐ成長させ、コミュニケーションや日常生活を円滑にする助けとなるのです。
公園で遊べない私とこども
私には今0歳と4歳と5歳の男の子がいます。外遊びの大切さを知った私は、子どもを連れて公園に向かいました。しかし子供と何をして遊んだらいいのかがわかりません。なぜなら私の子どもの頃の外遊びには必ず近所のお兄ちゃんがいたからです。
サッカーボールやシャボン玉、子供が喜びそうなおもちゃを買って出かけるものの0歳児と一緒では満足に相手もできないし、運動不足と仕事に追われ疲れ切った私には、そもそも子供と遊ぶ気力がない。
一人遊びの時期をすぎた子供たちには遊び相手がおもちゃではつまらない様で、すぐに『ママ、家でユーチューブみたい』と言われあえなく帰宅。できる限り、テレビ画面を見せる時間は短くしたい!と思いつつも、好きなアニメを見続ける我が子はとても『いい子』。『30分だけよ』と子供の約束しておきながら、下の子のお世話に、溜まった家事をこなしていくうちにあっという間に3時間。こんな日常を続けていた息子は就学時前検診の視力検査でC判定をもらってしまいました。
検査結果にショックをうけるも、ワンオペで家庭を回す我が家にとってYouTubeはもはや戦力の一つ。欠かせない家族の一員、外遊びをしたくても理想論に近いものになっていました。
子どもの遊び相手はこども
それでも、気力がある日は公園に子供をつれて行きました。その日は2つくらい年上のお兄ちゃんたちが珍しく鬼ごっこをしていました。上の子はその輪に入りたそうで、うろちょろとついて周りますが、人見知りで、入れて!の一言が言えません。
私もその子たちの邪魔になるんじゃないかと、遠ざけようとしていたのですが、そのお兄ちゃんが、『一緒に遊ぶ?』と言ってくれました。
息子は最初は様子を見ながら、次第にとても嬉しそうにお兄ちゃんたちとかけまわります。
普段はちょっとそこまでの買い物でも疲れた、歩きたくない、車で行こうという息子が2時間休憩もせずに駆け回るのです。
こどもの持つエネルギーに驚くとともに、子供の遊び相手は子供なのだと実感しました。その日の夕ご飯、普段は食べようとしない椎茸入りのお味噌汁を『うまい!』と言いながらおかわりし、夜も7時には眠ってしまいました。この経験から
体を動かす外遊びが栄養と睡眠の問題をも解決してくれると確信。そして子供の外遊びには
一緒に遊ぶお友達が必要なんだと改めて実感したのです。
人見知りの息子に起こった変化
それからは、息子の公園で遊ぶ友達作りに私も励みます。
なんとなく見えない壁が立ちはだかりますが、息子のためとご両親やお兄ちゃんやお姉ちゃんに、うちのこと一緒に遊んでくれないと私から声をけていきました。『一緒にあそぼ』といえば『いいよ』という言ってもらえる、成功体験を積んだ息子は、自分から友達に声をかけられるようになりました。
私もご近所に顔見知りの方ができ、スーパーやご近所であった時に、こんにちは!と挨拶をしていくうちに、息子も真似て挨拶をします。人見知りで、自分から声をかけられなかった息子の嬉しい変化です。
親が人と触れ合う姿が子供の生きる力を育む
最近、『生きる力』という言葉をよく耳にします。子供の能力を引き出し、心をそだて、転んでも起き上がる精神力を育てる。とても大切なことだと思いますが、『人に頼る力』も生きる上で重要なものだと思います。1×1はいつまで経っても1
1にカケル力を2、3、4と増やしていけると、1人では到達できないステージに到達できるのです。
人に頼る力を身につけるために必要なこと
それは子供の時の人との触れ合いや、失敗の体験です。
しかし現代は大きな声を出したら迷惑になる、走ったら危ない、公園で子どもの大好きな木の棒も他の子に怪我をさせられないと持たせることもできず、失敗する場所もなく、感染症の影響で人と触れ合う時間も少なくなりました。またIT時代反映と比例するように、意識しなければ人と触れ合う場所は少なくなっていくでしょう。
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人との触れ合いの楽しみを知る場所 守恒 外遊びクラブ
守恒外遊びクラブは、『一緒にあそぼ!』が言えないこどもたちどうしが一緒に外遊びをするハードルを下げるために開催しています。土日に開催される外遊びクラブで顔見知りになり、公園で会った時には、お互いが『一緒にあそぼ』といってもらえる様になることです。
しっぽ取りや貨物列車のジャンケンゲーム、氷鬼など、年齢に合わせた昔ながらのあそびを楽しみます。
初めましての子どもたちに楽しんでもらう為に大切なこと
それは親が楽しむこと。
子どものイベントとなると、多くの親御さんは『見ている人』になりがちです。
『子供は親の言うことは聞かないが親のする通りにする』
という言葉の通り、子供は親の姿をよーく見ています。いいところも、悪いところも鏡の様に真似して見せてくれます。大人が触れ合い、笑いあい助け合う姿。そんな姿を見せることで子供達は社会や大人に対する安心感を無意識に感じ、コミュニケーション能力アップの鍵にもなるのです。
世界一赤ちゃんが安全に生まれる国に日本の裏側にあること
少し暗い話をします。
日本は世界一赤ちゃんが安全に産まれる国だと言われています。他国が10万人のうち259人なのに比べ日本は5人。0ではないことは悲しいですが、医療の発達という面で安全な国と言えます。しかし2018年国立成育医療センターの調査では産後1年以内の自死は2年間で92人という異常な数字になりました。
私は熊本県の出身です。転勤族で1人目、2人目の子育ては誰1人知り合いのいない埼玉県で育てました。よく泣く我が子の声はお隣に響く様で、その泣き声がうるさいと警察がきたこともあります。特に1人目は私がちゃんと育てなきゃ!そんな思いも強く自分で自分を苦しめていた様に感じます。夫も朝7時に出勤し日付を超えて帰ってくる毎日、狭いマンションで子供たちとひとり向き合う時間は、とても苦しくこどもを可愛いいと思えないまでになってしまったのです。
それを救ってくれたのは、同じマンションにできた友達でした。山積みになった洗濯物をたたんでくれ、ご飯を一緒に食べてくれました。そのご飯の美味しかったこと。不思議と気力も湧いてきて、子供たちをまた可愛いと思える様になったのです。
子育てを孤育てにしない。
優しい社会がお母さんを救い、子どもを育て、未来を作る
It’s take a village to raise a child
『1人の子どもを育てるのには村一つが丸ごと必要』というアフリカのことわざをご存知でしょうか?一人前の人間を育てるのにはたくさんの大人が必要だということです。
江戸時代の日本でさえ子ども1人につき15人ほどの大人が関わっていたと言われています。
子どもを1人で育てることが当たり前の現代、子どもやお母さんに関する悲しい事故は、社会が作り出したものなのかもしれません。
守恒をみんなで子どもを見守る街に
外遊びクラブに参加いただいた皆さんにキーホルダーをお配りしています。
このキーホルダーは、マタニティーマークが妊娠をお知らせするのと同じ様に
社会で子供を見守るそしていつでもあなたを助けるからね、そんな優しさの意思表示のマークです。守恒町内でのお出かけの時、公園遊びの時、このマークをつけてる人がいたら、是非、挨拶をしたり、一緒にあそぼと声かけをしたり、遅くまで遊んでいる子がいたら『気をつけて帰るんだよ』と声をかけてほしいのです。知らない人に挨拶をするのはちょっと気が引けるけど、
このマークをつけている人は同じ気持ちだよ!と思っていただけたら幸いです。